「日本シリア観光協会」という名前は、いまの世界の情勢からすれば、あまりに夢見がちに聞こえるかもしれません。けれど、2024年末。長く混乱が続いていたシリアで新政府が政権を奪還し、2025年5月にはアメリカのトランプ大統領、そしてEU諸国が経済制裁の解除を発表するという、大きな節目が訪れました。もちろん、政権が変わったからといって、すぐに平和が戻るわけではないことは、私たちもよく分かっています。それでも、混沌の中で耐え、未来を信じ続けてきたシリアの人々が、ようやく「次の一歩」を踏み出そうとしている—その足音を、確かに感じたのです。

この協会の名前には、願いが込められています。

ーシリアの若者たちが、明日を語れる未来を。夢を描き、それを叶える平穏な日々をー

そして、その時が来たとき、日本人が「シリアに、行ってみたいね」と笑顔で言える世界を。私たちは、ただ観光を推進するためにこの協会を立ち上げたわけではありません。「観光」は、戦争では伝えられなかった日常の美しさや、人々の温かさ、何千年もの歴史が宿る街の魅力を知る入口だからです。食や伝統、文化や景観、そして何より人の優しさに触れたとき、誰かの中に“戦争ではないシリア”の記憶が刻まれる。そのひとつひとつの積み重ねが、未来の平和をつくっていくと、私たちは信じています。

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